俺と冷やし中華
夏の風物詩といえば冷やし中華だ。 シーズンになるとあちこちの店で「冷やし中華始めました」の張り紙を 見ることができる。1年中貼ったままの店も結構あるんだけどね。 ガキの頃は冷やし中華が大嫌いだった。 そもそも冷たい麺が嫌いだったし、酸っぱいのが気持ち悪いし、大人は 何であんなのを食べるんだろうと疑問に思ったものだ。 転機ははっきりと覚えている。 18、19の頃だったかな。 久しぶりに虫歯ができて、冷たい物が沁みるようになった。 それを放っておいたら、今度は温かい物が沁みるように変化した。 や、やばい。これは虫歯が進行しているぞ。 いつもは放置していれば治っていた(実際そんなことはない筈だが)虫歯 だけど、今回ばかりは気が進まないが歯医者へ行くことにした。 その頃は医療について真剣に考えていなかったので、歯医者も適当に 選んでいた。その結果通称やぶ医者と言われる所にも足を踏み入れていた。 「次は5日後ぐらいに来て下さい。何時でもいいですよ」 なんて言われたものの、痛みが全くひかないこの状態で5日間どうしろと。 しまいには空気さえも痛く感じるようになったので、常にお茶の350ml缶を持ち 歩くようになった。 喉は渇いていないんだけど、歯の部分にたえず冷えたお茶を注いでいないと 活動が困難だからね。 「夕飯どうしよっか?」 「中華気分だな。けど冷たい物しか食えない・・・冷やし中華・・・かな。」 「あら、珍しいわね。」 で、当時付き合っていた彼女とB級中華店へ入って、冷やし中華を注文した。 食べたのは10年ぶりだろうか。 ん、何だ。普通に食えるぞ。うまいではないか! それ以来、夏には冷やし中華を食べるようになった。 昔は酢と醤油の汁に、錦糸卵、ハム、きゅうり、紅しょうが、からしが お決まりだったように思う。 最近ではサラダ風、海鮮など具材のバリエーションも多様化し、味もとんこつ、 味噌、辛味などがあり、従来の冷やし中華が嫌いな人でも食べれそうな メニューが増えたように思う。 毎年夏が楽しみだ。 戻る