俺とキセル
小学から中学にかけての間、随分とキセルをやったなぁ。 ガキは金持ってないからね。技術で安くしないと。 小学生の頃は可愛いものだった。 一区間の切符買って、乗ってたのはせいぜい10駅ぐらいだったからね。 グレードアップしたのは中学になってからか。 同じクラスに「石井君」ってのがいたんだけど、 こいつ勉強は全然できないけど鉄道マニアで、電車の知識とか凄いの。 グッズも大量に持ってて、そのほとんどは駅構内で電車からひっぺがしてきた って言うんだからどうしようもないよな。 彼の部屋は「特急」とか「逗子」とかそんなプレートばっかり。 いる?って言われたけど、そんなのいらねぇよ。 で、彼の技術力がどれぐらいだったかと言うと、切符無しで新幹線を自由自在 に全国乗り回すレベルだったから驚きです。 そんな訳で奴と遊びに行くときは、目的地で何かするよりも電車に乗る行為自体が 目的だったような気がします。 いつだったか、「明日の朝早く来いよ」って言ったら夜中の2時頃来ちゃって。 いくらなんでもそりゃ早すぎるって。 俺はぐっすり睡眠中だったんだけど、うちの親が追い返しちゃったよ。 7時頃に出直してきたんだけど、親にどこへ行くの? って聞かれても本当の事は言えなかったな。 ◆キセル記録(ロング) 当時は自動改札なんて無かったので、どこへでも行けました。 ・伊豆(新幹線&特急)  着いたら夕方だったので、3分ぐらい滞在してすぐ帰路へ。  でも帰りは夜でした。  家の門限オーバーしちゃったので厳しく問いつめられたな。 ・房総一周  千葉駅から内房線スタートで一周です。  各駅だったから7時間ぐらい掛かったんだったかな。  途中の切符拝見は停車時に車両変更してやり過ごしました。 ・千葉県右部  無人駅があるので、そこを基点にするとすべて10割引きです。 そして高校時代へ。 さすがにこの年になるとキセルはしなくなりましたが、もっと悪知恵が。 隣りに住むT君が定期を偽造して、親から貰った定期代を丸々浮かすと いう手口を開発。 良しっ俺も俺も、とあっという間に広まりました。 作り方は簡単で、古い定期の数字の部分を切って張り合わせるだけです。 陰が出ないようにカッターなんかで削ったりしてみんな職人でした。 ちょっと見じゃ全然分からないので、バレるわけがないですよね。 ところが。T君がいつだったか偽造定期落としちゃってね。 しかも拾ったのが国鉄関係者。 でも喫茶店に呼び出されて注意されただけだったって言うから、運が良かったのかな。 今は自動改札だから全部無理ですよ。入場記録もとられるし。 戻る