俺とろくもじ
ガキの頃「ろくもじ」って遊びが流行った。 漢字だと「六文字」になるのかどうかは知らない。 こっちに来てからは誰もが「ろくもじ? 何それ?」と言うので、局地的 な遊びだったのかもしれない。 野球をやろうって時に人数が足りないと、「今日はろくもじにするか。」 ってなる。最低3人でもできるから。 ルールは場所によって異なる。元々ローカルな物で明確なルールなどは 存在しないのだろう。 上級生から下級生へ口頭で伝えられていくトラディショナルな遊戯なので、 隣の地区に行くともう違ったりするのだ。 用意する物はカラーボール。 ・攻撃側 バットを使うとそれなりに飛んで大変なので、掌で打つのが基本スタイル。 ベースは野球の2塁を除いた1塁→3塁→ホームの順に走る。 これを6周して最後に「ろくもじ!」って宣言すると攻撃側の勝利になる。 5周までは何も言わずに周るので、いつの間にか6周ってこともややあり、 守る側もスリルがあった。 野球方式で1周してホームに帰ったら1点ってルールでやる時もあった。 ・守備側 カラーボールを走者に当てればアウトを取れる。 審判はいないので、当たった当たらないで中断することもしばしば。 しまいに「掠った」とか言い出すんだけどね。 打者が出塁したら1塁、2塁、ホーム間でキャッチボールをし、ボールを 投げる度に「1」「もじ」「2」「もじ」・・・ と言っていき、「6」→「もじ」になるとアウト。 走者は6もじになる前に次の塁へ進まなくてはいけない。 守備の人数が少ない場合は、1人で上空にボールを投げて、投げるごとに 「1」「もじ」・・・とやるルールを採用していた。 この場合必ず問題になるのが高さである。 「今の低かったよ。ずるい、無しね。」 多少の言い争いはしょっちゅうあった。 いつも陽が落ちてボールが見えなくなるまで遊んだんだ。 戻る